「たのもー!」
──あのとき私は、巻島くんが大好きだった。……今もだけど。
「……これ履いてさっさと帰れショ」
──このときの苦しさを、オレは多分一生忘れらんねェ。
「無理なんてしてないです、私が勝手に好きなだけなので」
──そのとき受話器越しに聞こえたため息にも、めげなかった。
「このパンあいつが好きそう……って関係ないショ、もう」
──どのときも頭の隅に居座っていた存在。

「今さら、かな?」
「今から、始まるんショ」
そして再開した二人は、いつのときも一緒だったことを思い出した。


本作品は短編「いま□ら」の前日譚です。
(読んでいなくても特に問題ありません)





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